ChatGPTで書いた読書感想文を見抜くには

ChatGPTで書いた読書感想文を見抜くには…

ChatGPTで書かれた読書感想文の特徴

「夏休みに読書感想文の宿題を出したら、ChatGPTで書かれてしまう」という懸念点を持っている先生も多いかと思います。

 

 

ChatGPTを使えば読書感想文なんかカンタンに書けてしまう。

 

ChatGPTに小学生(中学生)が書いたような文章にしてとお願いすることもできる。

 

なんて話が出回っていますが実際のところはどうなのでしょうか?ChatGPTのような新しい技術に対しては、実際よりも過大に評価しすぎてしまったり、反対に極端な過小評価になってしまうことがあるものです。

 

ニュースで取り上げられる際にも、面白いネタ(カンタンに書けるとか、小学生風の文体にも変えられるとか)が優先されてしまうため必ずしも実状を正確にとらえている訳ではありません。

 

また、自分では使ったことがないのにこうしたニュースネタをもとに議論をするのは間違った方向に進んでしまうだけです。そこで「ChatGPTを使って読書感想文を書く」ことの現状を調べてみました。

 

それらしい読書感想文を書けるけど、内容は間違い

実際にChatGPTに読書感想文を書かせてみました。

 

【問】中学生が書いたような「杜子春」の読書感想文を800文字程度で作って。

【CharGPTの書いた読書感想文】
「杜子春」は、太宰治の短編小説であり、愛と孤独をテーマにした作品です。物語は、主人公の杜子春が自身の愛と孤独についての葛藤を描いています。物語は、杜子春が恋に落ちるところから始まります。彼は美しい女性・椿姫に出会い、彼女に心を奪われます。しかし、彼の愛は一方的であり、椿姫は他の男性と関係を持ってしまいます。杜子春は嫉妬と失望に苦しむ中で、孤独な存在となっていきます。(以下省略)

 

いきなり間違えてますよね。
「杜子春」は、太宰治の短編小説であり…って。杜子春の著者は芥川龍之介です。

 

内容(あらすじ)もメチャクチャ
「杜子春が恋に落ちる」「椿姫に出会い」って何の話でしょうか?

 

ただ、杜子春を読んだことがない人にとっては、そういう話なのかなと思ってしまいますよね。
読まずにCharGPTに読書感想文を書かせた生徒は、こうした「感想」を提出するかもしれません。

 

これならCharGPTに書かせたとカンタンに見わけられます。

 

ほかの本でもChatGPTに読書感想文を書かせてみました。

【問】中学生が書いたような「桐島、部活やめるってよ」の読書感想文を800文字程度で作って。

【CharGPTの書いた読書感想文】
「桐島、部活やめるってよ」は、乙一の小説であり、青春と自己成長を描いた作品です。物語は、主人公の桐島が突然、部活を辞めることを決意し、その決断が彼の人生に大きな変化をもたらすところから始まります。(以下省略)

 

こちらも間違ってます。
「桐島、部活やめるってよ」は乙一ではなく朝井リョウの小説です。

 

ChatGPTが書いた読書感想文の特徴は、「感想」はそれっぽいのですが、あらすじがメチャクチャ
もう一例。

【問】中学生が書いたような「走れメロス」の読書感想文にあらすじを含めて800文字程度で作って。

【CharGPTの書いた読書感想文】
物語は、古代ギリシャの都市・シラクサに住むメロスという若者を中心に展開します。ある日、メロスの友人であるセリヌンティウスが、暴君のタイラントによって冤罪を着せられ、処刑されることが決まってしまいます。メロスは友情と正義を貫くため、セリヌンティウスを救うために自らの命を賭ける決意をします。メロスは、セリヌンティウスの無実を証明する証拠を集めるために、シラクサの町を駆け回ります。彼は一生懸命に努力し、懸命に時間を切り詰めますが、自身の力だけでは限界がありました。しかし、メロスの純粋な思いと友情に触れた人々が次々と協力を申し出ます。彼らの助けにより、メロスはついにセリヌンティウスの冤罪を晴らすための証拠を手に入れることができました。そして、処刑の瞬間が迫る中、メロスは証拠を持ってタイラントのもとへと駆けつけます。メロスはタイラントに対し、友人を救うために証拠を示し、セリヌンティウスの無実を訴えます。彼の言葉に心を動かされたタイラントは、セリヌンティウスを許し、2人の友情と勇気に敬意を表します。(以下省略)

 

これも「走れメロス」を読んだことがない人はそうなのかなと思ってしまう内容ですが、実際のストーリーとはちがいます。メロスはセリヌンティウスの無実を証明するために走り回ったのではありません。読んでいれば間違いだとわかりますが、読んでないとそれっぽく思えることを書いています。

 

ChatGPTを使って読書感想文を書くことの是非について教えて

ChatGPT自身に見解を聞いてみました。

【問】ChatGPTを使って読書感想文を書くことの是非について教えて。

【CharGPTの回答】
ChatGPTは、トレーニングデータから学習した情報に基づいて文章を生成しますが、必ずしも正確な情報を提供するわけではありません。(以下省略)

 

ChatGPT自ら「必ずしも正確な情報を提供するわけではありません。」と答えています。
つまり正誤がハッキリしているものは苦手だということ。

 

読書感想文で言えば、「あらすじ」「ストーリー」は正誤がハッキリしているのでChatGPTではうまく書けないというわけです。反対に、正誤の区別がない「感想」のようなところは、それっぽく書けるというわけです。

 

ChatGPTが書いた読書感想文を見抜く方法

あらすじ、ストーリーを含める」ことを読書感想文を書く条件に加えておくと、ChatGPTが書いた読書感想文かどうかが見わけやすくなります。「あらすじ、ストーリー」に関してはChatGPTは間違いが多いので、ここで見わけられます。

 

まとめ

ChatGPTが書いた読書感想文は、感想はそれらしいものでも、あらすじやストーリーがメチャクチャになります。このため、感想文を書く際の条件に「あらすじ、ストーリーを含めること」を加えれば、ChatGPTが書いたかどうかを見わけやすくなります。

 

なお、ChatGPTの利用には年齢制限があるので、ここにも注意喚起が必要です。

ChatGPTには年齢制限あり

ChatGPTの利用規約には「13歳未満は使用禁止」「18歳未満の利用はは保護者の同意が必要」とされています。2023年3月に追加された新しい利用規約です。